船橋市   台風24号“ある特徴”が野菜直撃 

船橋市    台風24号“ある特徴”が野菜直撃 なぜ“今回だけ”塩害?

 

「はてな」と題して、さまざまなニュースの疑問を解明していきます。

第1回の8日は、台風が巻き上げる海水によって引き起こされた「塩害」に、はてなです。

なぜ、今回の台風だけ塩害が引き起こされたのか。
確かに、これまで日本にはたくさん台風が来ているが、塩害の被害は台風24号だけだった。

例えば、送電線から火が出て電車が止まってしまったり、あとはガソリンスタンドに長い列。
これは、洗車をするために列ができてしまっていた。

さらに、わたしたちの生活、食べ物についても、これから収穫を迎える野菜の苗が、黒く変色してしまっている。

なぜ今回の台風だけ、塩害が広がったのか。

見る見るうちにしおれていく、野菜の苗。
農作物に甚大な被害をもたらす、台風による塩害。

先週、猛威を振るった台風24号の直撃を受けた千葉・船橋市では、住宅街のいたるところが塩だらけに。

千葉・船橋市では「ここに止めてあるトラックは、窓ガラスがべたべたな状態」、「塩の結晶みたいなものがすごかった。1回くらいふいてもザラザラして」などといった声が聞かれた。

そこで疑問なのが、なぜ今回の台風24号でだけ、塩害が広がったのか。

街では、「普通だったら、雨が降るから塩害流してくれるんですけど。それが、今回は風の台風だったから」という声が聞かれた。

そう、今回首都圏を襲った台風24号は、「風台風」。

10月1日の深夜、千葉市では10月の観測史上最も強い、最大瞬間風速41.1メートルを観測。

台風が通過する際、最も雨風が強くなる進路の右側となった千葉県周辺では、太平洋の海水が大量に巻き上げられ、内陸部に降り注いだ。

さらに、通過直後の首都圏は、台風一過でカンカン照りに。

千葉市では、最高気温30.5度の真夏日を記録し、その後も、およそ3日間にわたり、まとまった雨が降らなかった。

「風台風」と通過後の暑さ。
この2つの要素が重なったことで、海水の塩分が流されず、塩害が一気に進行してしまった。

千葉・旭市のキャベツ農家を訪ねると、苗が茶色く変色し、もう葉っぱがない状態のものも。

9月に植えたばかりのキャベツの苗が、塩害により茶色く変色するなど、枯れてしまっている。

千葉・旭市のキャベツ農家・菅谷芳和さんは、「台風の塩、海水の塩が付着して、こういうダメージをくらってしまう。茶色くなったところは、もう育たないので…」と話した。

塩の付着により、葉が脱水状態となり、変色。

この農家だけで、被害総額は、およそ500万円にのぼるという。

では作物は、塩害によって、どのように変化するのか。

取材班は、海水と同じ成分を、キャベツ・白菜・ブロッコリーの苗にかけ、3日間実験を行った。

海水をかけていない苗のグループと海水をかけたグループ。
開始から5時間、海水をかけたグループは、見る見るうちにしおれた。

その後、双方の苗に定期的に水やりをして経過を観察するが、2日間たつと、白菜の苗は早くもしおれ、最後には枯れてしまった。

一方、キャベツやブロッコリーの苗は、水やりのたびに元気を取り戻しているかのように見えたが、葉をよく見てみると、変色が進んでいるのがわかる。

日光が当たる部分からいち早く変色が進み、葉の一部が黒くなり、破れてしまったものも。

さらに、葉の表面には、乾いた塩の粒が付着しているのがわかる。

10月の観測史上、最大の暴風をもたらした「風台風」による塩害。

その影響は、千葉の海岸線から12kmも内陸部にあるナシ園にまで及んでいた。

石神梨園・石神浩和さんは、「(来年のナシづくりに?)影響はあると思いますね」と話した。

都内のスーパーに聞いたところ、キャベツや大根の価格は、このあと2倍から2.5倍に跳ね上がるとみられている。

その時期は、これから収穫を迎える、11月から12月になるとみられ、おいしい野菜が高く・少なくなってしまうとみられる。

また、植物に付いてしまっただけでなく、土壌に塩が含まれてしまうと、除去するのにも大量のお金がかかる。

農家の人は、暴風のネットなどをしているということだが、畑の面積が広大で、原状復帰には追いついていないという。